2人の王女と2人の騎士
気を取り直して料理が並べられたテーブルを見つめる。まだあまり手を付けられていなくて品揃えも豊富だった。全制覇する気持ちでまずは大好物のステーキを一口。
「お、おいしい…!」
肉汁が溢れて更に食欲を増加させる。勢いが止まらず、いろんな料理に手を出していると背後に影がさした。
「まーた食べてばっかり。太るぞ」
イグニスだ。彼とクライドは今日は公爵家の一員として舞踏会に参加している。服装もばっちりキメていて、いつもより少しはましに見えなくもない。
「大丈夫よ、明日からまた運動すれば」
するとイグニスは頭のてっぺんから足のつま先まで眺め始めた。
「何じろじろ見てるのよ」
「いやもったいないよな。セラは黙っていればお淑やかな王女に見えるのに」
「それどういう意味よ!」
確かに髪色や見た目からしたらそう見えると思う。特に今日はパーティ用の綺麗めなドレスを着て、普段王女らしくないポニーテールでまとめている髪は下ろしている。
あぁ…とりあえずこの減らず口を黙らせたい…!