2人の王女と2人の騎士


その一瞬を見てしまった。

クライドの目線は私ではなく…




ティアの方にあった。




そしてティアも時々クライドを見つめていたのだ。


「…やっぱりそうなんだ」


私も感は鈍くない。前にあの2人の様子を見ていた時から薄々感じていた。

クライドはティアの事が好きなんだと…。

はっきり聞いたわけでもないから簡単に認めたくなかったけど、これではっきり確信してしまった。
2人が楽しそうに話していたあの姿と重なって何だか胸が痛いし、苦しい…。


そしていつの間にか曲が終わり、再び拍手が広間に響いた。どうしよう、クライドの顔が見れない。というか…ここにいたくない。



「…セラフィーナ姫?」



いたたまれない気持ちに支配されていたところでクライドの声が聞こえる。



「ちょっと…ごめんなさい」



何かに弾かれたように私の足が動いてクライドの元から離れ、そして急いで会場から飛び出す。



後ろからざわめきが起こっている事だけが耳に聞こえてくるのだった。





「一体どうしたというんだ…?」


「クライド!お前セラに何かしたのか」

「何もしていない。急に走り出して」

「…私、見てくるわ」

「いや、ティアも出て行ってここが騒ぎになって困る。俺が行ってくる」

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