2人の王女と2人の騎士
第4章 芽生え始めた気持ちと伝わる気持ち


それから数日が経ち、ティアのお見合いも無事に終わり、クライドも城に戻って来た。

思った通りティアはお見合いの方と結婚すると言っていた。どうやら相手はファルサリアからとても遠い国の王子らしい。
クライドは相変わらず平然とした態度を貫いているし…やっぱりこのまま過ごしているだけでは、無駄に時間が経ってしまうだけ。

そしてティアが嫁ぐ日までの間で4人の予定が合った今日、いよいよ旅行当日だ。

私は2人に内緒で、ある計画も立てている。うまく行けばいいなと心躍らせていた。




「セラ、準備はできた?」

「うん!今行くわ」


天気は快晴で、絶好の旅行日和だ。
ただこの旅行の許可を得るには苦労した。何せ一国の王女と騎士団長が自由に城を出られるはずがない。ティアが嫁ぐ前に特別にと許してもらったのだ。
私たち4人は幼なじみで、父様の信頼もあるからと。




私とティアが城の裏門に行くと、既にイグニスとクライドがいた。お忍びで行く事になっているから、正門から堂々と出る訳にはいかないので裏門集合にしていた。

移動のための馬は3頭。
イグニス、クライド、私がそれぞれ乗る。



「やっと来たか…ってお前のその格好、よく似合ってるな」


お腹に手を当てて笑いを堪えているイグニス。
私とティアは国民の女性たちが着るような一般的なドレスを着ている。王女だと身分がバレてしまっては危険だと、父様から条件を出されたのだ。



にしてもそんなに笑うなんて。



「失礼にも程があるわよ!」


全く…クライドのように王女を敬う気持ちはこのバカにはないの?

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