2人の王女と2人の騎士
城を出てしばらくすると緑の多い小道に入ってきた。木漏れ日が差し込む中、空気もおいしく感じられる。こんな風に外へ出かけるのは久しぶりだから余計に気分が良くて気持ちが良い。
後ろからついてくるクライドとティアは、2人で楽しそうに会話をしているみたい。そんな光景を見ているとただのカップルのよう。身分も関係なく砕けた口調は子どもの頃を思い出させる。
程なくして小高い丘に建つ1軒の屋敷が見えた。
今日から過ごすクライドの家、ブレイクリー家の別荘だ。私たちが来るという事で何名かの従者たちが出迎えてくれる。
「お待ちしておりました姫様方。長旅お疲れ様でございます」
「クライド様とイグニス様もお久しぶりでございます」
「少しの間だが世話になる」
普段見られないクライドの貴重な姿だ。さすが公爵家の息子というだけあって貫禄がある。
「ここへ来るのは本当に久しぶりね。前に来たのはいつだったかしら?」
ティアが懐かしむように屋敷の中を見回した。
「俺が6才くらい?10年も前か」
もうそんな前になるのかと驚いた。昔は毎年のように来ていた場所だから。
よく見ると内装も家具も置き物も、全てがあの頃のまま変わっていなくて、幼い頃の思い出が蘇ってくるようだ。
「皆様お疲れでしょうし、昼食に致しましょうか?」
「あぁ、そうしようか」
クライドの言葉で従者たちはテーブルに食事のセットをし始めた。
…うーん。
せっかく晴れてるし、城じゃないのだからもっと違った…。
「そうだ、今日はいい天気だし外でお昼はどう?」
「まあ素敵ね!私は賛成するわ」
ティアが嬉しそうに頷くとイグニスとクライドも頷いてくれた。