2人の王女と2人の騎士
木の木陰にテーブルとイスをセットして、外でも食べられるようなサンドイッチや紅茶が並べられる。城とは違って景色が最高にいい。何個でもサンドイッチが食べられそうだ。
「そういえば昔は最後のサンドイッチを2人で取り合っていたわね」
ティアが私とイグニスを見てそう言った。
そんな事もあったな。
最終的にはティアが半分こにしてくれたような記憶がある。
「あっちの草むらでは俺とクライドが剣の勝負をしてたな」
「…やるか?」
「お、珍しく乗ってくれるとは。いいぜ、俺が成長したところ見せてやる」
昼食が終わったところで、2人は草むらに落ちていた木の棒を拾って勝負を始めた。
子ども頃はただのお遊びにしか見えなかったけど、今の2人の動きを見ていると本物の勝負そのものだ。
でも昔はクライドに負けてよく泣いていたんだっけ、イグニスは。
「ねー!次は私も混ぜてよねー!」
2人の楽しそうな姿に、私もついやりたくなってしまった。
「セラったら。…でも、あんなに生き生きしたクライドは久しぶりに見たわ。私だけじゃなくて、クライドにとっても良い息抜きが出来ているみたいね。ここに連れて来てくれて、ありがとう」
ティアはにこりと笑いかけてくれる。
喜んでくれて私も嬉しかった。城にいた時の悲しそうな笑顔はもうないみたい。
「私はティアが幸せならそれでいいのよ」
そう言ってイスから立ち上がるとイグニスたちの元へ駆け寄った。
「クライド!次は私と手合わせ願うわ。手加減しないでよね」
こんな事城で言ったら当然のように断られるのだけど、今日はニヤリと不敵な笑みを見せていた。
「いいだろう。昔よりどこまでお転婆になったか確かめるとするか」
「お転婆じゃなくて成長したって言ってくれない?」
気取らない自然な態度で接してくれるクライドに嬉しく感じながら草原を蹴った。
自然が広がるこの場所で思いっきり体を動かして、陽の光を浴びて、何にも気を遣わなくて…。
私たちは本当に子どもに戻ったように楽しく過ごした。
日が暮れると屋敷に戻って昔話に花を咲かせる。湯浴みはティアと一緒に、そして部屋も同じにしてもらった。