2人の王女と2人の騎士


次の日は敷地内にあるバラ園を訪れた。
赤だけでなく、色とりどりの花が咲いていてとても鮮やかだ。
ただこのバラ園は広いから、子どもの頃にかくれんぼをしながら迷子になった事がある。



「イグニス、分かってるよね?」

「ああ。さりげなく…だよな」



この日のために計画を立てていたと言っても過言ではない。

4人で散歩しているところを、ティアとクライドに気づかれないように2人っきりにしてしまおうという作戦だ。

バラ園という良い雰囲気の中なら、2人の本音も出てくるのではないかと考えていた。
結果がどうなるかはティアとクライド次第だけど…。




「そろそろいい感じじゃない?」

わざとゆっくり歩くうちに段々と距離が出てきた。2人の様子を伺うように歩いたり歩かなかったりして、歩幅を微調整する。


「セラ、止まって」


イグニスの言葉に歩みを止めた。
ティアとクライドは私たちに気づかないようで
、どんどん先に進んでいく。



「よし…私たちは出ましょ」



今が良いタイミングだと判断して、イグニスの背中を押しながら恐る恐る後ずさった。


「足音立てんなよ」

「しっ!聞こえるでしょ」


そんな事を言いながらもバラ園の入口まで無事に戻って来れた。




後はどうなるのか…。

どうかうまくいくようにと心の中で願った。

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