2人の王女と2人の騎士
「そこの者、こちらにセラフィーナ姫が来ていないですか?」
「いっいえ。お見かけしていませんが…」
「そうか…。分かりました」
簡単な会話が済んだ後、次第に足音が遠ざかっていく。意外と諦めが早いみたい。
そう思って安心し、扉を開けると…。
「へ?」
「セラフィーナ姫!」
どうやら足音はイグニスのものだったようだ。
あいつめ…私が勘違いしたじゃない!
「姫、どうしてこのようなむさ苦しい場所までお逃げになるのですか?」
「それは、えっと」
どうにか誤魔化さないと。
そう考えているうちに彼の手が肩に触れる。
「さ、戻ってお茶でも致しましょう」
「ごめんなさい。ちょっと…た、体調が優れなくて」
「体調が悪ければここまで来れませんでしょう」
ぐっ。咄嗟についた嘘はバレバレか。
「さあ行きましょう」
何としても引き下がらないつもりみたいだ。
そう言って触れていた肩から手を離し、今度は私の手を掴んで引っ張り出した。
「痛っ…」
この人…見かけによらず力が強い。
なかなか振りほどけないでいると、イグニスが間に入ってくる。