2人の王女と2人の騎士
眠気が覚めてきた頃には、既に城が見える程近くまで帰ってきていた。
「帰ってきてしまったのね」
ティアが残念そうに呟く。
私も同じ気持ちだ。
これで4人で出かけられる機会はもうないだろうと思っていたから。
ティアはクライドに思いを伝えた今、何を思っているのだろうか。城を見つめる横顔からは、いつも通りの綺麗な顔しか映っていなかった。
「帰ったらまた日常が戻ってくるな」
「それより溜まった報告書やら資料やらをまとめないと…。イグニスの分も手をつけねば。それと在庫管理の…」
1人でブツブツ呟くクライドは、何かの呪文を唱えているようにしか聞こえない。呪いでもかけられそうな勢いだ。
こんな4人の日常がいつまでも続けばいいのに…。
私の願いは心の中で留まって、神様に届かないと思っていた。