2人の王女と2人の騎士
部屋がしんと静まり返ると、私は立ち上がって扉を開けた。
心の中では母様に対する罪悪感があったけれど、あの時の私はまだまだ子どもで、外で遊びたいという気持ちの方が大きかった。
「姫様、いかがなさいました?」
案の定外には兵が2人いて、簡単に部屋を出させようとはしなかった。
「お手洗いに行きたいの!だから行ってきてもいい?」
兵の2人は男だったから、さすがにトイレまでついてくることはないと思っていた。
「かしこまりました。では、侍女をつけましょう。少々お待ちいただけますか?」
「あ、いいのいいの!それくらい1人でいけるわ!」
「あ、姫様…っ」
侍女なんかつけられたら抜け出す隙なんてなくなってしまう。私は兵の言葉を聞かずに早々と走り去ってしまった。
向かった先は外ではなく、図書室。
ティアも誘って遊ぼうと思って来たのだ。
すると丁度図書室から出てくるティアを見つけた。
「待ってー!」
「…セラじゃない。どうしたの?」
私に気づくと嬉しそうに振り返ってくれた。
だけどティアの側には侍女がいたから耳打ちで遊びに行かないかと伝える。最初は困惑した表情をしていたけど、少し考えてから小さく頷いてくれた。
「私お手洗いに行ってくるわ。だから先に部屋に戻ってもらえないかしら?」
「しかし…お2人で大丈夫ですか?」
「ええ平気よ。すぐに戻るから」
「分かりました。ではこの本はお部屋までお預かりしますね」
そう言うと侍女は私たちに背を向けて行ってしまった。
よし、これで大丈夫だ。
「楽しそうだったからつい乗ってしまったけど、ほんとに少しだけだからね?」
「分かってるって!早く行こ!」
私はティアの手を引いて駆け出した。