2人の王女と2人の騎士
中庭に来るとイグニスとクライドが大はしゃぎで遊んでいた。
「おい卑怯だぞクライド!少しは手加減しろよ!」
「悔しかったらやり返してみろよ」
この時から2人は何かある事に張り合っていた気がする。でも7才と11才という年の差は、この頃は身長だったり力だったりと顕著に表れていて、いつもイグニスが負けていた。
「2人ともー!私たちも混ぜて!」
そう言うと、私は2人がやっていたように雪をすくって丸め、イグニスにぶつけた。
見事命中。
当たった事に嬉しくて、私はその場で飛び跳ねて大喜びした。
「うわーまたやられてる」
「うっさいな!…それっ!」
今度はイグニスが私に向かって雪玉を投げてきた。避けたと思ったらバランスを崩して地面に倒れてしまう。
「あっ、セラ!?」
心配したティアが私の元へ駆け寄ってくる。
「あれ…?」
転んだはずなのに、不思議と痛みはなかった。
それどころか地面に広がる雪は私を包み込んで守ってくれるよう。
これならいくら転んでもケガをしなくて済む。それに母様に叱られる事もないと思ったら、とても嬉しくなってきたのだ。
「今度はクライドよ!…それっ!」
私が投げた雪玉はするりとかわされてしまった。やっぱりクライドに当てるのは難しいようだ。
「そんなへなちょこ玉当たらないって!こうするんだよ!」
そう言って手本を見せるかのように雪玉を投げた。スピードに乗った雪玉はイグニスの背中に当たる。
「お前らな〜!」
「わぁー!イグニスが怒った!」
こうして雪合戦は混戦状態になり、しばらく雪を投げ合っていたけど、そんな私たちを柱の影から見つめているティアと目が合った。