2人の王女と2人の騎士
「ティーアっ!一緒にやろうよ」
「…う、うん…。でもお母様に叱られてしまうから私はここで見ているわ」
またお母様…。
おままごとだったら遊ぶのに、こういう体を動かす遊びはいつも見ているだけ。
私は母様に怒られるのを心配するより、やりたい事をやっているのにティアはお母様、お母様って…。
「そう…。遊びたくなったら来てね」
「ええ…」
そう言うとティアの側を離れて、イグニスとクライドの輪に戻っていった…
丁度その時だった。
「こんな所で何をしているの!?」
「お、お母様…っ」
ティアの母様、ローズマリー様がやって来てティアを見下ろしている。
こうなってしまっては、いつも通りティアは帰ってしまうけど、今日は柱に掴まったまま動かなかった。
「ティア?」
「…何をしているの?さあ早く帰るわよ」
「あ、あの…私…」
俯いたまま絞り出すような声を出す。
「あ、あのねお母様。私も皆と遊びたいの。…少しだけ、少しだけでいいから…」
「…!ティアルーシェ…あなた何を…」
ローズマリー様は驚いていたように見える。
私たち3人もパチパチと瞬きを繰り返し、お互いの顔を見合わせ、ティアの言葉に驚きを隠せないでいた。
そしてティアはローズマリー様の側から離れるように駆け足で私たちのところへやって来て、ローズマリー様の出方を伺うように見つめていた。
「…あなたがそこまで言い張るなんて、よっぽど遊びたいらしいわね。…分かったわ、今日だけ許してあげましょう」
ため息をつくと、ローズマリー様は城の中へ入って行った。