2人の王女と2人の騎士


「…始めから素直にそう言えば良かったのに」


私はティアが自ら遊びたいと言ってくれて、嬉しさで顔がほころんでしまった。
特に今日は雪という特別な遊び道具があるから、これで遊ばないのはもったいない。



「よっしゃ!これで2対2のチーム戦が出来るな!」

「じゃあ私は誰かさんより強ーいクライドと組みたいな〜」

「私もクライドと組みたいわ!」

「じゃあいっその事3対1でしようか」



「はあぁ〜!?」



イグニスの落胆する様子に私たち3人は腹を抱えて笑った。





それから4人で雪合戦をした後、中庭を出て城の周りを走り回った。雪が降り積もって整備された道が覆い隠されてしまい、いつもとは違う足の感触が走りづらくて何回も転んでしまった。それでも雪は優しく、クッションのように受け止めくれる。

それに何だか、冷たいはずなのに温かみを感じていた。









それから4人で雪に寝転びながら空を見つめていた。先程まで降っていた雪は段々と小さくなり、雲の間から時々青空が見え隠れしている。



「ねえ聞いた?明日にはこの雪溶けてしまうんだって」

ティアがそう呟く。


「ほんとかよ!こーんなにたくさん雪があるのに全部なくなるのか?」

「気温が上がって晴れればすぐに溶けてなくなってしまう。元々ファルサリアに雪が積もる事自体珍しいからな」

「えーそんなぁ…」



こんなに楽しい雪なのに…。

まだまだ遊び足りない。





でも次の日の朝、窓を開けてみるとティアの言う通りになっていた。
あんなに真っ白な世界が広がっていたのに、緑の木々、整備された道…全てが元通りになっている。
夢でも見ていたかのような気分だった。




残念に思えたけど、思い返すと4人で遊べたのはすごく楽しかった。

何よりティアと一緒に遊べた。



私の記憶では、ティアが自分の意思を出したのはこれが初めてだったのだ。


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