2人の王女と2人の騎士


そう言うお母様は何かを憎んでいるような、それでいて野望を宿した瞳をしていた。

私のためだと思って厳しく接していると思ったら、そうではなかったみたい。



「お母様…王子と結婚するのが全てではありませんわ」



「お黙り。私はあなたが生まれた時から王子との結婚を望んでいるの。口答えするなら…そうねぇ、この離宮にいなさい。セラフィーナ姫に何を吹き込まれるか分からない。それに、ブレイクリー家の長男にも会わせずに済む」



「そ、そんな!」




それではもう何も出来なくなってしまう。

昔ここで過ごしたように、お母様と2人っきり。

せっかく私の行いが認められて、部屋を移してもらったのにまた逆戻りだ。





「お母様!考え直して下さい!」





逃げ口を塞ぐように立ちはだかるお母様に懸命に訴えるが、無表情のまま私を見下ろしているだけだった。
そして控えていた侍女に何かを伝えると、私にニヤリと微笑みを見せる。



「頭が冷えるまでここにいなさい。もうクライドと結婚しないと言うまでは出させてあげないわ。分かったわね?」





…どうしてこんな事に…。


私は膝から崩れ落ちるように床に座り込んだ。


これから一体どうすればいいの…。


…クライド…。


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