2人の王女と2人の騎士


side セラフィーナ



今日はレイスフォールからアレン王子が来ている。前回は私が逃げてそのまま終わってしまったので、今回は父様直々に命令を受けたから逃げる訳にはいかない。



「本日は姫のご機嫌がよろしいようで安心しました。安心してじっくり語らう事が出来ますね」

「そうですね…」


ぎこちない笑顔を浮かべながら紅茶をすすった。この2人だけの空間が息苦しくて仕方ない。
はぁ…早く時間が過ぎてほしい…。




「ところで、私がファルサリアへ来てこれで5回目です。そろそろ姫の返事をお聞きしたいのですが」


へ、返事かぁ〜。






何にも考えてない…。







もちろん結婚する気は一切ない。
ただどのように誤魔化そうかと悩んでしまう。



「もう少し時間を下さい」



これだけしか言えなかった。
こんな言葉を言いながらも舞踏会の時に父様が、行動を取ると言っていたのを思い出す。
アレン王子もはっきりと返事を求めてきたし、もう限界がきているのかもしれない。

次にあった時は、父様に言ってこの縁談を断ってもらおう。


ティアがクライドとの道を選んだように私も…。





「…じらしますね。何を迷っておられるのですか?もしや、他に好きな方がいるのでは?」



「え…」



一瞬心臓がドキッとした。




「そして相手は私に無礼な口をきいたあの騎士でしょう?」




どうして…どうしてそう思ったのだろう。

というか私はイグニスの事が好き…?





「図星ですね」




まるで私の疑問を肯定するかのような言葉だった。

その時初めて、自分はイグニスの事が好きなのだと気がついたのだ。

クライドを好きだった時とは違った感情があったから、自分でもこの思いが何なのか戸惑っていた。




「かわいそうに…。叶わぬ恋心を秘めたまま私と結婚する事になるとは…」


< 51 / 131 >

この作品をシェア

pagetop