2人の王女と2人の騎士


慣れた足取りでティアの部屋まで来ると、いつものように扉をノックした。


「ティア!私よ、いる?」

返事がない。間を置いて何回かノックしても静かなままだった。


「おかしいなぁ。部屋にいないのかな?」


「ティアルーシェ様をお探しですか?」


部屋の前で考え込んでいると、1人の侍女が声をかけてきた。




「そうなの。見かけなかった?」

「ティアルーシェ様ならローズマリー様のいらっしゃる離宮におられます。数日前からそちらでお過ごしですよ」


数日前から…?
という事はここにはずっといないって事?

そう考えると何だか嫌な予感がしてきた。



「分かったわ。ありがとう」



いても立ってもいられず、私はすぐに離宮へ向かった。










ローズマリー様が普段過ごす離宮はいつも兵が厳重な警備をしていて、私でさえ簡単に入る事は出来ない場所。昔はティアもここで過ごしていたから、遊びの誘いでよく足を運んだものだ。大抵は入口で足止めされていたけど。


そして今日も…。




「セラフィーナ様?…失礼ですが、本日はローズマリー様から許可をいただいておいでですか?」

「ないわ。でもティアがいるんでしょう?少しだけ会わせてもらえない?」

「ですが…ローズマリー様の許可がないと…」


やっぱり難しいか。
それならティアに来てもらうように頼むか…。






「…セラ?セラなの?」






扉の向こうから間違いなくティアの声が聞こえた。



「…セラを通してあげて」



ティアの一声で兵は扉を開け、私は離宮の中に入っていった。

< 54 / 131 >

この作品をシェア

pagetop