2人の王女と2人の騎士
それから更に1週間が経った。
未だにティアとは会えていないし、どのような状況になっているのかも分からないでいた。
そんな私に追い討ちをかけるかのように、不吉な知らせが届いたのだ。
「…本当なの、兄様?」
「ああ…。最悪戦争になるだろう」
戦争…。
その言葉を聞いて体が震えた。何よりその相手がレイスフォールだと聞いて。
「国境付近に兵が集まりつつある。だけど何も動きは見せていないから注視しているだけ。何事もないのならいいんだが…」
「…まさか、私が原因だったら…」
アレン王子を怒らせて、しまいには縁談が破談となった経緯があるからそれがとても胸に引っかかる。
「大丈夫だ。聞けばセラフィーナは悪くないそうじゃないか」
「う、うん…」
クライドもそう言ってくれた。
2人が私の味方をしてくれるのならこの上なく心強い。
「原因が何であれ、最悪の事態には備えておく必要がある。そうならないよう努めるつもりだが、セラフィーナも用心しておいてくれ」
「分かったわ…」
戦争なんて…争い事なんてしてほしくない。
大切な人たちが傷つく姿を想像するだけで胸が痛む。
本当に何も起こらなければいい…けれど、レイスフォールの軍隊が撤退するまでは、いくら兄様やクライドが大丈夫だと言ってくれても、私の心が落ち着く事はないだろう。
これから始まる不安な日々を思いながら、兄様の背中を見つめた。