2人の王女と2人の騎士
「はぁ…。王族よりは劣るけれど、名門公爵家であるブレイクリー家の長男、父親はファルサリアの大臣」
諦めかけていたところで、まるでクライドを値踏みするかのようにお母様は呟いた。
「お母様…?」
「私が1歩譲れば良いという事ね」
「そ、それって…!」
「ティアルーシェをここに閉じ込めておけば気持ちが変わると思ったけれど、そんな簡単に思いが断ち切れるような絆ではないのね。…私の負けよ」
私は今、夢を見ているのではないだろうかと思う程驚いている。
あのお母様が…。
王子と結婚させると言ってきかないお母様が。
信じられなくて口に手を当てて驚く事しか出来ない。
「ローズマリー様…ありがとうございます…!」
クライドはお母様に向かって丁寧な礼をすると、今度は私に向き直って跪く。
「ティアルーシェ姫、私と結婚して下さいますか?」
この言葉をどれ程待ち望んでいたか。
「ええ、喜んで」
しっかりとクライドの目を見つめながら、その手を取る。
お母様の拍手に続いて、控えていた侍女たちにも祝福の拍手と言葉を送られる中、私たちは微笑み合った。