2人の王女と2人の騎士
第6章 突きつけられた現実
side セラフィーナ
ティアとクライドの婚約が決まってから、城内は戦争の事など忘れたかのように明るい雰囲気が漂っている。
誰もが、このまま幸せな日々が続いてほしい…そう願っていた矢先だった。
今にも雨が降りそうな曇天の日。
見た事もないような大量の軍勢を率いてやって来たのは、隣国レイスフォール。
存在感のある大きな国旗を何本も掲げ、馬のひづめの音はこのまま城を攻め落とす勢いを感じられた。
そして軍の先頭にはアレン王子の姿が…。
縁談はなくなったはず。
だとすると…。
私は城から眺めながら不安に駆られていた。
すると侍女が焦った様子でやって来て、部屋に連れ戻される。
その理由は聞くまでもなく分かっている。
ドレスを着替え化粧を施し、アレン王子と会わなければいけないのだ…。