2人の王女と2人の騎士
「突然の訪問、お許し下さい」
城の重鎮たちが集まる部屋で、彼の動向に皆が厳しい視線を向けているのにも関わらず、怯む事のない声を出すアレン王子。
「本日参ったのは皆さまご存知のはず、国境の兵についてです」
その言葉に部屋にいた皆が凍りついた。
父様は眉間にしわを寄せたまま黙っていて、私は皆と同じ様にアレン王子の言葉を待つ。
「私は以前、セラフィーナ姫から無礼な行為を受けました。このままでは私が、レイスフォールが許しません。そこで取引をしていただきたい」
「それは一体…」
私が口を開くと、アレン王子は不敵な笑みを浮かべた。
「セラフィーナ姫を私の妃に迎えたい。それが叶った暁には姫の行為を許し、国境の兵を引きましょう。出来なければ…兵を動かす事になります」
「そんなっ…」
「…そんなの理不尽だろっ…!」
アレン王子の発言に周囲がざわつく中、それまで静かに端で控えていたイグニスが絞り出すように呟き、肩を振るわせていた。
今にも飛びかかろうとするイグニスを隣にいたクライドが静止する。
「突然の訪問に突然の取引に皆さま驚いている事でしょう。寛大な心で2週間、考える時間を差し上げます。私も父も良い返事をお待ちしております。…では、私はここで」
そう言ってアレン王子は立ち上がる。
去り際に私の顔を見て小さく微笑むのだった。