2人の王女と2人の騎士


「ねぇイグニス。私クライドの事が好きになっちゃったみたい」

「へ、へぇ…」

「応援してくれるよね?」

「あ、ああ…」




俺は歯切れの悪い返事しか出来なかった。
だって自分の好きな人は違うやつの事が好きなんだぜ?


でも相手がクライドなら、セラがいつか幸せになってくれるならと思って応援しようと決めた。

あと、同時にクライドに嫉妬したな。

いつも女に囲まれてキャーキャー言われているのを遠目で見ていた。そんなにモテるのに、セラまでクライドの虜になってしまうし…。







それからというもの、セラのクライドを見つめる眼差しは活き活きとして輝いているようだった。


恋する乙女はなんとやら…。







だからあの舞踏会の時、セラが涙を流す姿が見ていられなくて、思わず抱きしめてしまったんだ。

その肩はとても小さく感じ、強く力を込めたら壊れてしまいそうな程か弱く見えたのだ。
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