2人の王女と2人の騎士


side セラフィーナ



城から少し離れた場所に国が管理する大きな闘技場がある。滅多に使われる事がないこの場所だけど、今日は王都以外からも大勢の人が集まり賑わいを見せている。

私たち王族は父様を中心としてロイヤルシートに座っている。横に目をやると、ティアは私より離れた席にいるようだ。



「セラフィーナ、落ち着きなさい。…決断は大会の後に聞こう」

「は、はい父様」


ティアに目を向けていたのにキョロキョロと辺りを見回していたからか、父様と視線が合い、勘違いされてしまった。



そして私が黙ったのを確認すると父様は一息つき、席から立ち上がった。
すると会場は割れんばかりの歓声と拍手を父様に送る。




「…只今より、武闘大会の開会を宣言する!」




高らかに開会宣言がされると観衆の盛り上がりは更に大きくなった。

でも私はそんな気分になれない。

こういった盛り上がるものは大好きなはずなのに、楽しむどころではないから…。

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