2人の王女と2人の騎士


そして次々と参加者たちの勝敗が決まっていく。

騎士団員の強さを目の当たりにしたり、逆に一般人の勝利に驚いたりと会場の興奮は冷めやらぬ一方だ。


でも決勝は、やはりイグニスとクライドの対決。

月の第1騎士団長、太陽の第2騎士団長と呼ばれる2人の戦いに今か今かと試合開始を待ち焦がれているようだった。



その盛り上がりを上げるためか、休憩時間が挟まれる。

私は侍女を伴って闘技場に背を向け、喧騒から離れると小高い丘にやって来た。
先程の熱狂から一変、この場所には優しい風が吹いている。



「ねぇ、どっちが優勝すると思う?やっぱりクライドかな」

「そうですね。クライド様が勝つと大半の人は思っているようですが、イグニス様が下克上するのではないかとも噂されていますよ」





クライドはファルサリア1の剣の腕前を持つと言われている。皆がクライドが勝つと予想するのは当然だ。
私も少し前までだったら間違いなくクライドを応援して、イグニスをバカにしていただろう。



でも今は違う。



イグニスに勝ってほしい。

クライドに勝つところを観たい。

私がいなくなる前にかっこいいところを見せてほしいと願ってしまう。






「…姫様、風に当たりすぎては体が冷えます。そろそろお戻りに…」


「そうね…」


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