2人の王女と2人の騎士
馬車が止まったのは日が暮れて小さな塔に着いてからだった。外を眺めると周囲は森が広がっていて鬱蒼としている。
「今日はここで1泊して、明日の朝出発します」
そう言うと私の手足を拘束していた紐を解いた。ずっと縛られていたからか、足はすっかり痺れていて立ち上がると痛みを感じてよろめいてしまう。
「おや大丈夫ですか?」
手を差し伸べられてけど、私は無視して払いのけた。
「ふふ、強情な方だ。しかし自由になったからといって1人で逃げようとしても無駄ですよ。このはもうレイスフォールなのですから」
意識を失っている時間も含めると長い間馬車にいたからある程度検討はついていた。でもレイスフォールの王都までは遠いはず。ここはまだ国境付近であるに違いない。
確かめようと、案内された部屋にある窓から外を眺めても暗闇で何も見えず、自分の顔しか映っていなかった。
「姫、簡単ではありますがお食事をご用意しました」
アレン王子直々に私の食事を運んで来た。
持ってこられたのはパンとスープ。出来立てで湯気が立ちのぼり、おいしそうに見えるけど今は食欲がない。それに毒が入っているかもしれないと思うと手をつけられない。
「言っておきますが毒は入っていませんよ」
「…そうですか」
まるで私の心を読み取るかのようにアレン王子がそう言った。顔に出ていたのかな…。