2人の王女と2人の騎士
「…あれ?」
気が付いた時には日が昇っていた。いつの間にかそのまま眠っていたようだ。
体を起こすと昨夜見えなかった周囲の様子が目に飛び込んでくる。
やっぱり深い森の中にいたようで、どの方角を見ても青い空と緑の森しか見えなかった。
「あれは何…?」
良く目を凝らすと、遠くに白い煙があちこち上がっているのが見える。
すると丁度部屋の扉がノックされてアレン王子が入って来た。
「お目覚めはいかがですか、姫?」
「あの白い煙は何ですか?」
朝の挨拶なんてどうでもいい。
私は窓に向けて指を指し、アレン王子を見つめた。
「あれ、とは?」
「とぼけないで!」
強い口調で声を出しても全く動じず、あの不気味な笑みを浮かべる。
こういう場合はアレン王子にとって嬉しい事がある時…。
でも私にとっては…。
「さて、レイスフォールの精鋭たちを倒して無事に辿り着けるのやら」
それって…
「兵を動かしたというのですか!?」
あの国境に待機させていたという兵を…?
「姫を追って来ては困るので。当然でしょう」
淡々と言ってのける態度に腹がたつ。
このまま怒りに任せて平手打ちをかましたいところだったけど、握り拳をつくってグッと抑える。