2人の王女と2人の騎士
ー交戦ー
side イグニス
ティアに見送られてからレイスフォールとの国境を目指し馬を走らせていた。
今のところ、国内にレイスフォール軍の姿はない。
ファルサリアの地理には詳しくないだろうし、夜中という事もあるから攻めてきてはいないのだろうか。
そうなると国境の砦付近に集まっていると思う。夜明けに攻撃を仕掛けてくると想定して、俺たちもすぐに陣地をつくり、作戦会議をしないといけない。
馬を飛ばすこと数時間────
国境の山々が見えてきたところで俺たちは馬を降りた。
「陣営をつくれ!」
「「はっ!」」
俺とクライドの指示で兵たちがそれぞれ準備を始める。
「レイスフォール側の様子は分かるか?」
「いや、暗くてよく見えないな。とりあえずは大人しいようだが」
クライドが双眼鏡を覗きながらそう言う。
このまましばらく静かにしてくれれば良いのだが、総攻撃されたら兵の数で負けてしまうだろう。何せ急いでやって来たものだから、ワイアットの増援の到着は明日の朝までに間に合うはずがない。
「ワイアットはいつ頃到着するんだ?」
「最短でも明日…日が昇りきってからだろう」
「それじゃあ間に合わないな」
国境を守りきれたとしても、そこで終わりではない。特に俺たち第2騎士団はレイスフォール国内に行かなければならないのだ。ここで兵力を失う訳にはいかない。