2人の王女と2人の騎士
第9章 大国王子の本性
side セラフィーナ
あれから数日の間泊まりを繰り返して、馬車はレイスフォールの王都へ向かっていた。
日が暮れてくるとすぐに建物があるところで泊まり、早朝に出発するという移動の日々だった。最初は食事を出されても我慢していたけど、空腹に耐えかねて初めて食事をした時は、意外とおいしくて一気に食欲が戻ったりした。
それと私が抵抗しないと分かったのか、手足の拘束もいつの間にか取れて待遇が良くなっている。
従順な振りをしているけど、本当は一刻も早く早く帰りたい。
実を言うと、この数日の間にも頑張れば逃げ出せそうな隙があった。でも無理はしなかった。
イグニスが来てくれる、助けてくれると信じているから。
私は私なりに出来る事をしようと自分に鼓舞し続けている。危害が及ばない限りは下手に動かないようにしようと…。
「姫、ようやく王都に着きましたよ」
アレン王子にそう言われて外を眺めると、遠目からでも分かる程巨大な街が目に飛び込んできた。
「なんて大きな都…」
広いと思っていたファルサリアの王都がちっぽけに見えてしまう。大国の王都となるとこうも違うのかとただただ圧倒されていた。
それに建物の造り自体もファルサリアとは違う。
異国に来てしまったのだと改めて感じられた。
「驚きましたか?でも生活していくうちに直に慣れましょう」
慣れるつもりなんて全くない。
その前にはファルサリアに帰るのだから。
そう心に決めると外を眺めるのを止めた。