押したらダメだよ、死んじゃうよ
終点
人生のレールにはところどころに大きな穴がある。
レールの上を歩くだけの人生なんて退屈だってよく言うけど、実際のところは全然そんなことはない。退屈だって思うような余裕はどこにも無かった。
それがわたしの人生に敷かれてるレールが欠陥だからなのか、それともわたしが欠陥だからなのかはわからないけど、のうのうと歩いてるだけで進めるほどその道は平坦じゃない。
大きな溝もあれば、高い壁もある。
後ろから迫ってくるものだってある。
だから常に走ってなきゃいけない。
どんなに疲れても、立ち止まったら轢かれてしまうから。
全力疾走して、できる限りの助走をつけて溝を飛び越え壁をよじ登る。
息があって、足が震えて、もう限界だって心が叫んでも休むことなんてできやしない。
なんのために走ってるのかすらわかってないのに。
目的も目標もないまま、ただ言われるがままに駆け抜ける。
人生っていうのは障害物マラソンかなんかなのかもしれない。
沿道からはお母さんがメガホンを持って頑張れって声を張ってる。
どんなに大きな溝の前に差し掛かっても、どう考えたって飛び越えられそうになくても、頑張れって声がわたしの背中を押す。