高嶺のよわしくん




「みんな席つけー。朝のHR始めるぞー」

担任がいつも通り、オヤジ臭い健康サンダルをパタパタと鳴らしながら教室へ入って来る。

それを合図に、椅子を引き席に座る音が教室のあちらこちらで鳴り響く。

そして、そんな音も静まり帰った頃、担任は特等席が空席であることを確認し、口を開く。

「おい、白鳥どこいった?一限からサボりか?」




・・・なんてやりとりが今頃教室で行われている頃だろうか。


立ち入り禁止の屋上で1人、仰向けに寝ながら引き続きぼーっと空を見る。

背中に当たるまだ少しひんやりとしたコンクーリートの無機質な感触。

決して寝心地がいいわけではないが、お気に入りの場所だ。


窓枠もない、地平線もない。

ただ青いだけ、の景色を見ていると、不思議と心が安らいだ。



そして、気付くといつも通り

視界が少しずつボヤけてきて、
一気に耳元に涙が流れ落ちる。



よかったぁぁああああ
テスト一位取れて
よかったぁぁあああ

おれよく頑張ったぁぁあああ


うっぐ



たかがテストで一位になれたぐらいのことで、授業をサボり誰も居ない屋上で嗚咽交じりに泣くことか?
しかも男が。

と、きっと普通の人なら思うだろう。




けど、俺は決して普通ではない。
だからこその溢れ出る涙なのだ。
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