私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「怒ってないというなら、なぜそんなこと言いだすんだ?」

心配そうに、のぞき込んで私の表情をうかがう彼。

「私に自信が無いからです」

「自信がない?自信がないと、なぜ愛人を作れって言うの?
奈央、分かるよにちゃんと説明してくれ」

彼は、腕でかかえるように、そっと抱きしめてくれる。

「だから、はっきり言わせないでください。
私はその雑誌のインタビューで、あなたの横に立って写真に写る自信が無いからよ」

「どういうこと?わけが分からない」
彼は、本気で驚いてる。

「あなたって、雑誌にでかでかと写真が載るくらい注目されてるのよ。

だから、結婚してあなたの妻だって言ったらどうなるの?

今までみたいに、人前に出ないで、こんなふうに奥に引っ込んでいられないんでしょう?」

「それは、そうだね」
それは、さっき説明しただろう?と言う目で見て来る。

うっとりするような目だ。素敵。

でも、それとこれとは別。

「あなたは、公にしたくないっていう私の答えを見込んで、訂正しなかったんだわ。
私のことを気遣ったんじゃなくて」

心の底から、私のこと心配したんじゃない。

本当に差し支えないなら、きちんと訂正するだろう。


彼は、はっとしたように息を飲んで、下を向いてしまった。

認めたんだ。

ハッキリ結婚したことを言いたくない。

どこかにその気持ちがある。
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