私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「早く起きないと、遅れちゃうよ」
ぎゅっと抱きしめられて、こもった声になる。
「大丈夫。今日は少し遅くてもいいんだ。だから、まだこうしていられる」
澄んだクリアな声が返ってくる。
あれと思ったら、目の前に高陽さんの顔。
脇から抱きかかえるようにして、私を正面に据えている。
「んん……」
ふわっと抱きかかえられたと思ったら、予期しない激しいキスに、慌ててしまう。
「高陽さん、ちょっと待って……」
「ちょっと待ってじゃない。そのセリフ、もう聞きあきた。
奈央はこのまま寝てろ。
どうすればいいか君の体が覚えてる」
私は、彼の唇から逃れて言う。
「もう、朝から酷いこと言うのね。まるで私なんか、いらないみたいじゃないの」
彼は声を出してゲラゲラ笑う。
「君がいらないわけじゃない。逆だよ。君が寝ている間も、君が欲しい」
昨日の甘いキスを思い出して、私は身震いする。
身体の相性はいいらしい。
触れあうと、火のついた花火のようにパチパチとすぐに反応してしまう。
彼も同じ反応だった。
身体をぴったり合わせると、コントロールを失ったみたいに果てがなくなる。
予想外だった。
お互いこうして体を重ねるたびに、甘美な甘いベールに包まれるなんて。