私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
夫婦の絆 +ほんのおまけ
約束通り、しげさんは家にやって来た。窮屈な部屋になじんで、ちょこんと収まっている。
身体は小さいが態度はでかい。しげさんはこの部屋の主のように振るまっている。
岩槻家を出てから、何日も経ったけど、高陽さんから何も連絡はない。
戻ってこいと言われるとは、思ってないけど。
どうするつもりだろう。
「一度、一人暮らししたかったの。
こういうの、いいな。あこがれるちゃう」
私の心配をよそに、しげさん楽しそう。
家に来てすぐに、湯飲みやマイタオルなどを揃えて行った。棚や引き出しに、彼女のスペースを作ってあげると、ものすごくうれしそう。
しげさんは、自分が一人暮らしをしたみたいに、はしゃいでいる。
私は時々、誰かさんのことを思って、胸を痛める以外は、割りと快適な生活をしてる。
私は、ため息をつきながら言う。
「気に入ってもらえたのは、嬉しいけど。ちゃんと、息子さんと連絡を取ってくださいね」
「はい、はい。分かってますって」
しげさんは、祖父の家から退いてから、
既に息子さんの家族と一緒に住んでいた。
それなのに、新婚生活を始めた高陽さんにくっついて、岩槻家に戻って来たのだ。
自分の生活よりも、高陽さんのことを優先したのだ。