私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

そろそろ妄想を止めないと。

私は、タイミングを見計らって、彼の部下の二人に話しかけるつもりだった。

『妻の奈央です』と名乗るのだ。


「わざわざ呼び出して、悪かったな」ちょっと離れてるけど、夫の唇がそう動くのが分かった。

たった今、夫となった男が男性二人に握手を求めてる。

胸を張って余裕のある姿は、まさしく有能なビジネスマン。

手を差し出された二人は、彼の握手に応じた。

一人は、若い。彼と同時くらいの年で友人のよう。

もう一人は、白髪頭でずっと年上に見える。


「本当によろしんですか?籍を入れる前に、せめてお父様に相談なされては?」
年上の方が言う。

「親父?まさか」

彼は、年配者の意見をはねつけた。

きっぱり自分の思ってることを言うなんて。
なかなか骨のある人だ。
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