私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
時間あるから、仕事に行くか。
ダメだ。頭が働かない。
気を取り直して近くのカフェに入って、モーニングのトーストで腹ごしらえをした。
携帯を取り出して、スケジュールを確認する。
打ち合わせやら、進捗確認やら月曜日の朝らしく、細かい予定が入っている。
これは、午後から仕事に出かけた方がいいな。
あったかいカフェオレをすすりながら、この数日で起こったことを考える。
頭をスッキリさせて、整理しなければ。
今まで、従兄の岩槻高陽どころか、岩槻の誰とも行き来がなかった。
お互いに会ったのも忘れてたくらい久振りだったし。
その高陽から、急に私に会いたいと言われた。
理由は、祖父が母に残すはずだった遺産を私に残すということだった。
従兄どのは、無条件で私に遺産をやるわけにはいかないと命じられた。
奴は、野放しにするくらいなら、結婚して自分の管理下に置いてやるといい放った。
「ん?」
なんか。変じゃない?
お金をもらっちゃてすみませんと、申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど。
これって、高陽に遠慮する必要あるのか?
だって、お金をくれるのはおじいちゃんで、高陽ではない。
そうよ、じいちゃんがお金を残すって言ってくれたんであって、あの男ではない。
なんだ。それって、もらって当然じゃ何の?
なんで遠慮して、あいつの言いなりになって結婚なんかしちゃったの?
ああ……しまった。結婚早まったかも。
しまった。ほだされたんだ!!
仕方ないか。まあ、いい男だもんね。
お金持ちだし。
いいのか?このまま、ほだされて結婚してしまって。
さっきは……
いきなり膝まずかれて動揺しちゃった。
いくらゴージャスで素敵な男性にお願いされたからって、舞い上がって婚姻届けにサインするだなんて。
大丈夫だろうか?
結婚って思ってたより、大変なことのような気がする。
というより、何も考えないでこんな事決めていいのか?