私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
美歩とやりあった記憶は、かなり前だ。私が、黒髪に嫉妬して彼女の髪を引っ張って、意地悪した。
そのあと、砂場で取っ組み合いになって、お互い気のすむまでケンカした。
その後は、恨みっこなし。
それから何度もケンカしたし、真面目な彼女に助けられたりした。
この年まで毎月のように会って、お互いの悩みは全部知ってるつもりだ。
それなのに、一言も彼女に相談しなかった。
「ごめん」
やっぱり、私が悪かった。きっと、死ぬほど心配してくれたんだろう。
「わかればいい」
ごめんと言ったきり、ポロポロと大粒の涙が出てきた。
「泣くな、バカ。お目出度い席だろう」
「うん」
私は、美歩に比べればいい加減な人生を歩んできた。
一発逆転を狙って、怠けた分を取り返す。
美歩は「アリとキリギリス」のアリのように、着実に手堅い人生を歩んでる。
勉強もそこそこ頑張り、そこそこの大学に入り、地元の信用金庫に勤めている。
そのうち、そこそこの旦那を見つけて、そこそこの暮らしを手に入れるのだろう。
その美歩からすると、私のやってることは、到底理解できない。
何かやらかして、いつも彼女に泣きつくのは私の方だ。
よく考えないという批判は、その通りだから何も言えない。
「私だって、結婚するなんて信じられなかったのよ。だって、いつの間にか、そうなってたんだもん」