私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

「旦那、いい男で良かったじゃないの。
でも、あれだね。女性には冷たいらしいよ。

モデルだとか女優の端くれだとか、あんたの旦那に近づいても、しばらく付き合ったら、ポイされるんだって。

お金持ちの御曹司で、男前だもんね。
何であんたと結婚したのか分かんないけど、結構シビアに女性を見るっていう噂だよ」

「そんな話、どっから仕入れて来るのよ」

「週刊誌や、ネットの情報だけど。
御曹司さんは、結婚相手は自分で選べるわけじゃないからって言ってたんですって」

「政略結婚したぐらいだもの」
まあそうよね。政略結婚したくらいだもの。

「別に、女がいたらどうする?例えば、妻以外の本命の女性とか」

「どうするって」

「怪しいわよね。そんな人が奈央なんか選ぶなんて」

「お祖父さんに決められてたのよ。
彼が選んだわけじゃないもの。でも、一応、妻としては扱ってくれてるし。
特に不安はないよ。彼、優しいし」

「優しいねえ」

優しいとしても、それが純粋に、愛情から来るのかどうかわからない。

大切に扱ってくれるけど、好きだからじゃない。それが辛いところだ。

美歩は酔っている。

幸いなことに、適当な私のあやふやな返事に、厳しく突っ込もうとはしなかった。

美歩に会ったら、すぐにその質問をされたらどうしようと思っていたんだけど。

夫になる人は、どんな人?

たいていの人は、高陽さんのスペックを聞いて、それから私が従兄妹だと聞いて、いい結婚ねと決めつけるけど、美歩は違う。

美歩は、私の目をまっすぐ見て、

「そんで、あんたは幸せなの?」って聞いてくる。

そうやって、一番答えにくい質問をしてくるのだ。
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