私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

「美歩帰るよ」

私は、美歩の手を引っ張って、タクシーに乗せて家まで送り届けた。

今日は、彼女を送ってから、高陽さんのところに帰ろうと思ったんだけど。

美歩と話していて、昔話をしていたらなぜかほろ苦い気持ちになった。


高陽さんと、美歩のような関係が築いていけるのだろうか?

それとも、表面だけの、ただ一緒に同じ家に暮らすだけの関係になるのだろうか。

考えると気が重くなる。

これは、自分だけが頑張っても仕方がないこと。高陽さんがどう思ってるのか。

連絡が簡素になればなるほど、いい感じではないなと思う。彼も忙しのだ。

形だけの妻に関わっていられない。それが、彼の本心だったら、どうしよう。


――遅くなってしまったので、今日もアパートに泊まります。

友人と急きょ飲み会をすることになって、帰れなくなりましたと、高陽さんの携帯にメッセージを残したと言い添えて電話を切った。

高陽さんには、それだけ伝えた。



アパートの部屋で一人になった。

智也の言う通り部屋を引き払わなくてよかったな。
部屋で一人きりになると落ち着くし。

湯船にお湯を張って、一人で気兼ねなくゆったり過ごしたり、誰にも見られずに、ポテチ片手にゴロンと横になって映画を見たり。一人になって、グダグダしたい。

たまにはそうしたいと思えて来た。

たまにが、しばらくそうしたいになった

週末も、この居心地よさを手放して高陽さんのもとに帰るのに、二の足を踏んだまま。

高陽さんのところに戻るより、一人の方がいいなんて。

新婚家庭なのに終わってるか。

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