「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。
「……だが、婚約とかをしたわけでもないだろう。いつか結婚もありうるというだけの、不確かな約束に過ぎない……」
「そんなのわかってる。わかってるけど、それでもいいの」
と、彼女が言うのに、
「わかってるなら、別にいいが」
と、ワイングラスを持ち上げる。
「……やっぱり、変わったみたいよね? 聖哉さんって」
言いながら、彼女が顔をじっと窺ってくる。
「……どこがだ。僕は、どこも変わっていない…」
目をそらして、グラスのワインに視線を移す。
「だって、少し穏やかにもなったみたい。メガネの奥の瞳が、前より優しそうに見える……。ねぇ、何かあったの?」
目を覗き込むように見られて、
「……何もない」
とだけ、答える。