「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。

「かつてのあなただったら、愛してるさえも、言ってくれなかったものね…」

息をついて、取り出した口紅を塗ると、

「先に、出るね…」

と、彼女は会議室を抜け出して行った。

後に残り、乱れたネクタイをほどいて締め直す。

「……愛してるか」

言葉が口をついて、

「……この僕が、そんなセリフを言うなど……思ってもいなかったのに」

呟くと、自嘲気味な笑いが漏れた。

「……縛っていた鎖は、少しは解けてきているのか…」

ポケットからメガネを出すと、バラけていた髪を撫で上げて、メガネをかけたーー。



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