「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。

-3-


ーー会社の部署の飲み会に来ていた。

騒ぐだけの飲み会は好きでもなく、いつも避けていたが、今日は「たまには出ろよ」と、佐伯に引っ張られて仕方なく出ていた。

「……飲んでるか? 桐生」

酔った佐伯が、必要以上に張り付いてくる。

「…くっつくな。また妙な噂を立てられるだろうが」

片手で追いやって、生ぬるいビールを口に入れる。

「おまえ、まだ乾杯のビール飲んでるのかよ? そろそろ他のを飲んだらどうだ?」

酒のメニューを押しつけてくるのを、いいと断る。

「こんなところで飲んでも、不味いだけだ。飲みたければ、家に帰って飲む」

「そんなこと言わずに、飲めって」

メニューをわざわざひらいて見せるのに、

「いいと言ってるだろ」

と、押し返す。



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