「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。
「おまえさぁ、だいたいかっこつけすぎなんだよ? ちょっと顔がいいからって、すかしてんじゃねぇぞ!」
酔った酒臭い息が顔にかかり、そむけると、
「……目ぇそらすなよっ!」
と、ネクタイをつかまれた。
「よせ。離せよ…」
と、酔っ払った赤ら顔を睨みつける。
「…んだよ! 偉そうに…!」
そこに、いきなり拳で頬を殴られて、かけていたメガネが床に吹っ飛んだ。
「……貴様!」
咄嗟に殴り返して、相手がよろめいて座敷の床に座り込む。
落ちていたメガネを拾い上げて、かけ直すと、
唇が切れて、血が垂れてきているのがわかった。
片手で唇を拭いながら、尻もちをついているのに手を差し出すと、
「カッコつけんなって、言ってんだよ!」
と、手が振り払われた。
男たちが囃し立て、女たちがキャーキャーと嬌声を上げる中、
収集がつかなくなりかけたところを、
「…桐生さん、こっち…」
と、彼女が腕を引いた。