【短編】キスからはじまるカンケイ【完】
「待てよ」



須坂さんの手によってあたしは元いた席へと座らされる。



「なっ…」



なんだって言うのだろうか。
キスだってもうしたから満足ではないのだろうか。



「俺が誰にでもしてるって言った?」


「本当のことじゃないんですか?あたしにだって…」


「好きだからしたんだよ。だれにでもなんて思ってない」



〝好きだから〟
そう話す須坂さんに胸がとくんと高鳴る。



「す、ざかさん?」



びっくりしたからかうまく言葉が発せなくなる。
いつも怒ってばかりだった須坂さんがあたしのことを好きなんてありえない。



「今日がキスの日だからキスから始めようと思って仕事も残ってないの会社に残ったんだ」



ボソボソと話し始める須坂さんにこれは嘘をついてるわけではないんだと頭の中で認め始める。



「キスから…」


「俺、夕凪のこと好きなのにいつも素直になれないからこのキスの日を使おうって思ったんだ」



そんなふうに思ってくれていたなんて全く知らなくて。
ただただビックリするばかり。

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