【短編】キスからはじまるカンケイ【完】
━━チュッ


軽いリップ音がブースに響く。



「なんっ…」



あたしはイスから立ち上がる。
さっきまでも逃げれたはずなのに。
どうしても彼から目が離せなかった。



「今日なんの日か知らないんでしょ?」


「それとこれがなんの関係が…」



なんで知らないからってキスをされなきゃならないの?
この人がこんなに軽い人だったなんて知らなかったし腹が立つ。
何よりもキスをされてドキドキしてる自分に一番腹が立つ。



「あるよ。今日がなんの日かに関係してる」


「はぁ?」



さすがにふざけてるように思えて声を荒らげてしまう。



「キスの日」



あたしの唇に手が伸びてくる。


「…キス?」


「そう、信じられないなら見てみなよ」



あたしのパソコンからネット検索をする。



〝キスの日〟と入力しているのが見える。

それが本当だとしても、なんでキスをする必要があるのだろうか。
こんなにドキドキさせられて腹が立つ。

< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop