咲かない花
第一章 幼少期

1.初対面の追憶

 君と私が出会ったのは私が3歳、君が10歳の頃だったね。
 母の恋人の子供として連れてこられた君。
 初めて見たときただかっこいいという言葉以外出てこなかったなぁ。
 もう20年以上の前の事だからあまり覚えていない。
 始めて聞いた声泣きそうな声で
「愛恋(あれん)です。よろしくお願いします。」
と言った時だったなぁ。
 始めお互いに距離を取っていたけど時間が経つにつれ、次第に仲良くなっていた。
むしろ仲良すぎだったかな。
「愛恋兄ちゃん、おはよー。」
毎朝そう言って愛恋にギュッとする。
「沙那、おはよ。」
愛恋はそう言って私の頭を撫でる。
それが私が19歳までの日課だ。
こうされるとすごく落ち着く。
「愛恋兄ちゃん、大好き。」
そう言うといつも
「はいはい、俺も好きですよ。」
というけどそれは本心なのかな。
恋に落ちたのはいつだろうか。
もう昔すぎて覚えていない。
でも“毎日恋に落ちてる”が正解なのかもしれない。
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