それはバーの片隅で
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音が聴こえる。
鳥のさえずりと、車が行き交う音。
私の部屋からはこんなに車の音は聴こえないはずだ。眠る時に音がうるさいのは好きじゃなくて、マンションを選ぶときすごく悩んだ。
あまりに車が通らないのも防犯的にどうでしょうとか何とか。
そんなことをぼんやり思い出しながらうっすら目を開ける。
「……?まぶしい……」
明るさに思わず目をすがめた。
右を見る。…ブラインド。
左を見る。………背中だ。
(……は?……背中?)
一気に頭が冴えて起き上がった。知らない部屋。知らないベッド。
そして知らない背中―――
「だれ!?ていうかここどこ!?」
「……んんー……?何、うるさい…」
目の前の背中が唸りながらゆったりと動き、ギシッとベッドを軋ませこちらへ向いた。
「……ああ。おはよ」
欠伸を噛み殺しながら挨拶してきたのは、昨晩バーで一緒になった男。
(確か修司とかって)
「あーねっむ。……まだ7時前?ありえねー……土曜に起きる時間じゃないし……」
修司は髪を掻きながら時計と私とを見比べ、起き上がりかけた身体を再びベッドに沈めようとしている。