それはバーの片隅で

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「いらっしゃいませ。おや、今日は一緒なんですね」
「こんばんは、マスター」
「聞いて聞いて!なんと俺、はるかさん直属の部下になっちゃった」
「それはそれは」
「最悪ですよね……」

 1か月も経った頃。
 新プロジェクトの立ち上げでそういう事になってしまった。
 これまで組んだことのない面子を組み合わせることで、これまでにないアイデアを集めることが目的らしい。ある意味実験的な意味も含まれる今回のプロジェクトなんだけれど……

「なんで? ザ・オフィスラブって感じでいいじゃん」

 修司くんはこの調子だ。

「こっちはバレないようにひやひやなの」

(そうじゃなくても社内で普通にしてるの大変なのに)

「えー?俺はすっげードキドキしてるんだけどなー。仕事中のはるかさんを近くで見られて。ね、マスター。はるかさん超かっこいいんだよ」
「上の立場には色々あるんだよ。ですよね、はるかさん」
「その通りです」

 ただでさえ、最近前髪をあげるようになった修司くんに目を付けだした女子社員の話を耳にするのに。

(年下の部下に手出したとか言われるの嫌なんだから)

「マスター。スクリュー・ドライバーお願いします」
「かしこまりました」

 優しくマスターが頷くと、修司くんは私の肩をつついた。


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