それはバーの片隅で

「それに、相談所のきっかけは私なんでしょ?」
「はっ!?」

 私の髪を撫でようとしていた修司くんは、大声を出したと同時に手をバッと離した。

「勘違いする子がいないように、好きな人のそういう場所になりたいって話までして」
「おわっ、マスター!そんなことまで!ちょっ、個人情報漏洩反対!!」

 ついに首まで真っ赤になって立ち上がった修司くんに、マスターは首をかしげる。

「私は何も言ってないが」
「……えっ」

 修司くんはゆっくりとふりむいた。
 私の顔を見て、ますます赤くなっていく。しまったと、顔に書いてある。
 甘やかされるのも好きだけど、私はこの子をからかうのも大好きだ。

「はるかさん!?」
「本当なんだ? ごめん、カマかけちゃった」

(余裕なんて全然ない、素の修司くんだ)

 未だ立ち上がったままの修司くんに座ってと促して、肩に顎をのせる。






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