あの夏の空に掌をかざして
プロローグ
 高校生になって、ある日突然、夢に見るようになった景色がある。


 ボヤける視界の中で、かろうじて女の子と男の子と分かる、5歳くらいの二人が遊んでいる光景。


 時刻は夕方くらい、大きな夕日が橙色に輝いていて、町をオレンジに染めている。


 二人が遊んでいるところは、あたしの知らない公園っぽいところ。そこで顔にモヤがかかっている二人は、遊んでいる。


 公園には、二人以外誰もいない。


 女の子が、出口に向かって走り出す。男の子は、その女の子について走る。


 そこでーーーー。


 プップーーーーーーーーーーーーーーーキキィィィィィ!!!!!


 信号無視をした大型トラックが、走ってくる女の子に突進してくる。


 夢の中のあたしは、体が動けず、ただ目の前の光景を見ていることしか出来ないのだ。


「っっっーーーーーーーーー!」


 そこであたしは、いつも目が覚める。





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