あの夏の空に掌をかざして
第3章
決意
楓と別れ、行き着いた先は、172回目のいつもの闇。
「……楓」
ふと、頬に冷たい感じがして触れてみると、涙が一筋流れていることに気づいた。
「……楓…ありがと、巻き込んでごめんね……もう、大丈夫だから」
それをグイ、と拭って、決意を込めるように、あたしは手を握りしめた。
……もう弱くなんかない、絶対諦めたりなんかしない、最後まで、そして、結末がどうなろうともーーーーー。
記憶の中の楓は、泣きながら笑っていた。あたしなんかに、泣いてくれた、別れを、悲しんでくれた。
伝えたいことは、全部伝えた。たとえあれが最後の別れになっても、あたしは後悔しない。
もう、ループが終わるまでは、楓には会わない。
すがってしまいそうだから、泣きついてしまいそうだから。
楓は、あたしにとって、逃げ道で、全てを受け入れてくれる居場所で、けれど、それよりも、大事な人だから。
……もう、あんな顔はさせたくない。
きっと楓は、今頃忘れてしまっているんだろう。あたしが伝えたことも、楓が伝えてくれたことも、171回目の8月31日の出来事も。
それでいい、それが普通なんだから。もうそれを、あたしは悲しいなんて思わない、もう寂しくもない。
楓が、どんなに大事な人かってことに、気づかされたから。
「っよし!行こう」
向こうで灯った淡い光に、あたしは足を進めるのだった。
「……楓」
ふと、頬に冷たい感じがして触れてみると、涙が一筋流れていることに気づいた。
「……楓…ありがと、巻き込んでごめんね……もう、大丈夫だから」
それをグイ、と拭って、決意を込めるように、あたしは手を握りしめた。
……もう弱くなんかない、絶対諦めたりなんかしない、最後まで、そして、結末がどうなろうともーーーーー。
記憶の中の楓は、泣きながら笑っていた。あたしなんかに、泣いてくれた、別れを、悲しんでくれた。
伝えたいことは、全部伝えた。たとえあれが最後の別れになっても、あたしは後悔しない。
もう、ループが終わるまでは、楓には会わない。
すがってしまいそうだから、泣きついてしまいそうだから。
楓は、あたしにとって、逃げ道で、全てを受け入れてくれる居場所で、けれど、それよりも、大事な人だから。
……もう、あんな顔はさせたくない。
きっと楓は、今頃忘れてしまっているんだろう。あたしが伝えたことも、楓が伝えてくれたことも、171回目の8月31日の出来事も。
それでいい、それが普通なんだから。もうそれを、あたしは悲しいなんて思わない、もう寂しくもない。
楓が、どんなに大事な人かってことに、気づかされたから。
「っよし!行こう」
向こうで灯った淡い光に、あたしは足を進めるのだった。