あの夏の空に掌をかざして

結果

 ふわふわふわふわ。


 あたしは、どこかに漂っていた。


 あの光に包まれているような感覚だ。


「……ここは?」


 瞳を開くと、そこは夜で、三日月が美しく、怪しく、夜空に瞬いていた。


 そこには、道の傍らで座り込んで泣き叫ぶ、歳は三十路くらいの女がいた。


 その服装は、まるで昔の人のように着物を着ていて、貧しいのか、髪はボサボサで、みずぼらしい格好をしていた。


『っぁ……ぅあぁぁぁぁ!!サチ!!サチ!!どうしてサチがぁぁ!』


 女は、そう叫びながら泣いている。


 静かな夜道に、その女の声はどこまでも悲しく響いていた。


 道行く人ももう居ない夜道で、そう嘆き悲しんでいる女は、少しだけ不気味だった。


「……でも、どうしていきなりこんな…夢を?」


 あたしはそれが分からなかった。


 今までは、あの男の子とあたしの夢しか見てこなかったから。 

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