あの夏の空に掌をかざして
「それで、ほんとに何やってたの?こんなに散らかして」


 見ると、あたしの周りを取り囲むように、洋服の山がいくつも築き上げられている。時計の針も、長い方が4と5の間にある。どうやらまた考えすぎて、時間も周りも見えなくなってしまっていたようだった。


 こんな部屋の中を見られてしまった恥ずかしさと、時間に大幅に遅れてしまった申し訳なさで、胸がいっぱいになる。 


「な、なんでもない、ごめんね、また考えすぎちゃったみたい」


「ふぅん、まあいいけど、それじゃあもうここで宿題やろっか」


 実は最初からそのつもりで道具も持ってきたんだ、と日向は言って、後ろからカバンを取り出した。


 日向の提案により、あたしの部屋でやることになったけど、その前に協力して洋服を片付ける事にした。


 手伝わせちゃうことになって、また少し申し訳なくなったけど、そんなあたしの気持ちを察したかのように、日向は大丈夫だよ、と微笑んで文句ひとつ言わずに片付けてくれた。


 そんな日向の優しさに、胸の奥がきゅうっと鳴った。


 これも、妹だからなの?幼馴染みだから、こんなに優しくしてくれるの?


 日向の死角になるところで、顔を悲しみに歪める。


 問いたいけど、怖くてできない。


 あたしは、日向の事になると、こんなにこんなに弱虫になっちゃうんだーーーーー。
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